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日本の借金の形 [嘘]

ようやく書いてみようと、思う。

全体から書く視点を検討していたが、それに辿りついてみると、最近の借金にまで

進むのに数カ月かかるのがわかった。あまり伸ばしたくないので、ここらで

「財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済」上念司:著(講談社+α新書)

だけから実地の検討をしてみようと。

ポイントは二つに絞る。ひとつは国庫の性格。もうひとつは嘘の事情の推測。

初めに日本経済新聞が2018年度に日経QUICKニュースに挙げている「日本の借金

の額は1087兆円に増加、3月末、国民一人当たり859万円」 というもの。

さて、ここで指摘するのも馬鹿らしいのだが、日経では「財務省は、国債や借入金、

政府短期証券を合わせた「国の借金」の残高が3月末時点で1087兆円になった

と発表した」と言っているのだ。この文でおかしいのは「日本の借金」と言って

いる国債や借入金、政府短期証券というのは「国の負債」のこと(金額)で、

これは日経の他、朝日などの4大新聞でも同じ表示らしい。負債はいくらと

言いながら、資産を言わずに、その金額全部を国民が背負っているという、

珍妙な説明になっている。それで2年前の国の収支しか公表していないのか?

これは日本の大新聞がほとんど発表をそのまま載せているために、国民に

信用されている、という構図になっている。どうもお役所に詰める記者は、

また新聞社も右へ習えをしているからには、それ相当の理由があるだろう。

それには新聞社を動かしている真に実権を握っている、大株主などを背景に

した権力グループをどうも想像してしまう。その背後とかになると、陰謀論が

出てくるのだろうが、それもあやしく、見かけと現実は相当に異なっている

はずだ。

なんにせよ、負債だけではなく、ちゃんと資産も加えれば日本の借金はこれで

半分に減ってしまった。さらに本では、国債による借金は負債に入るが、

日本銀行が(原則ではインフレを呼ぶので日銀による国債の引き受けはしない

ことになっている)国債の引き受けをしている分は実際には借金の性格では

ないという。どういうことか、ここが個人と国の違いなので、説明すると、

要は国は死なないのだ。個人では死ぬので借金は残る。または途中で破産する。

しかし、国は日本銀行に金を刷らして、満期の国債分だけ次々に借金を繰り越し

て先送りができる。そのためには国の収支がいくらかプラスになれば、その分を

返済に回せるので、年数はかかるが、いくらでも借金の先送りはできるという

わけだ。

そして、肝心なのは、金は刷ればいいだけで、それも日銀は国の銀行だ。個人

ならかみさんが輪転機を持っていて、かみさんに借金をしても自分の家で金を

印刷してその国債をかみさんが買い取っているので、借金取りが来て食いつか

れることはない。

そうすると、日銀の国債引き受け、それが発行残高の4割に達したというの

だから、その額358兆円(2017年度)も負債には入らない性格のものだ。

ここで財務省の「国の貸借対照表」を見てみると、本にもある通り、2017年

3月末のもので、2年前のものしか発表していない。でも、話は大きい金額

なので、急に変わることはない。

貸借対照表は会社の会計と同じもので、資産と負債に分けて財務状況を見る

ものだ。家庭の家計簿でもそれを利用はできる。ただ、国と個人ではかなり

内容の事情が違うので、似てはいない。

まず、国の資産合計が672,7 兆円、負債合計が1221,6兆円になっている。そこ

で両方の計でマイナス548,9兆円としている。これが半分になった国の借金だ。

だから、ここからさらに国債引き受け残高の額358兆円を引けば、190兆円が

日本の実質の借金だということになる。

これが政府のプロパガンダ(ある主張の宣伝や伝道の意)である。


これで主要なことは全部示した。が、問題はここから出てくるはずだ。どうして

こんな簡単な嘘が新聞でまかり通ってしまうのか、どうして財務省にこんなこと

ができるのか、なんのためにこんなことが巧まれているのか、また、僕らに

焦点を当てると、このことはネットでも本でも書かれていて大勢が知っている

にもかかわらず、平気でいる僕らはほんとうはどこか腐りはじめてはいないか、

ということにも。

今や20代の半数は国民年金をボイコットしているらしい。国債を発行して

いればいいとは言っても、歳入は増やさないと将来、焦げ付きやすくはなる。

そこで歳入で一番手っ取り早いのは、日本は借金が世界一だから、と脅かして

税金を国民から取るのが確実だ。収入の年齢層の人口は8000万人(推定)

はいるだろうから。8000万人×増税=国庫へ。

北欧では税金で収入の50%持っていかれても、福祉の手厚い保護があるので、

皆文句は言わない。日本でそんな福祉どころか、車検や道路税、相続税など”世界

にはない税金”やその高額差はどんなマスコミも取り上げず騒がない。それで

消費税を上げることにしたのだから、怒るところだが、それも仕方ない、と思う

僕らであってみれば、それも仕方ない、となってしまう。

今の団塊の世代は政府のプロパガンダで貯蓄を勧められた世代だ。ひとつ

前の世代では誰でもが株や投資に狂って、2世代前のバブルがはじけたこと

があった。その前からもアメリカの隠れた指導があって、マスコミは封じ

込まれたし、またアメリカから日本を守るために表向き資本主義だが、内容

は社会主義経済だった、日本独特の護送船団方式をとって大企業と銀行を

守った。昔も今も庶民たる僕らに眼が向いたことはない。それは国民への

機嫌取りが必要な時だけの一時の給付金だけだ。特別会計は一般会計の

4倍あるが、複雑な省庁の仕組みでお金がどこへ行ったか、わからない

ようになっている。

官僚は長い間、この特権を守って来て、政権交代してもその官僚のしくみから

はどこに責任があるのか、官僚同士でもわからない複雑怪奇なシステムのよう

なものが出来上がっている。ま、また天下りを成立させるための資金源なの

だろうが。


こう書いてくると、日本の借金が日本の問題の入り口に立っただけなのだな、

と思われてくる。このテーマはなにか関連が出るのに引っかかるまでは

休むことにする。明治から昭和の戦後まで様々につながっているので、簡単

にはいかない。


*参照
 財務省ホームページ・日本銀行ホームページ財務表。

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