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 [天]

< 天 >  


「天」 という言葉は、英語ではHeaven 、天国と訳されることが多い。  

が、もちろん、東洋思想の言葉で、人を超越した存在として、表現させる 

もので、中身は不可思議である。これといった神様ではなし、上空を示す  

が、場所を指すのではない。 天国では違和感、満載である。  

それでいろいろの意に使われるので、あいまいなほうが便利である。  

福沢諭吉の「学問のすゝめ」でも、「天は人の上に人をつくらず、人の下に  

人をつくらず、」と始まるが、突っ込んでみれば、何の意味か分からなくなる。 

天は、そうしたボーッと読ませてしまうのに適した言葉だ。読み進むと、 

人は平等である、という思想はどこかへ行ってしまって、頭を使った方が  

人生儲かるから、学問をせよ、といった風向きになる。まことに「学問の  

すゝめ」である。

日本では、・・だと思うのだが、「お天道様」という言葉があり、お天道様に  

顔向けできないような生き方はしちゃぁならねぇ、と「座頭市」の映画で 

みたいに聞いたが、江戸時代だったのだろうか。このお天道様は、太陽  

のことで日の当たる場所で生きろ、という意味なのだが、「天」の思想を  

含んで道徳的な観念をもっている。太陽が信仰されたのは、古く、釈迦や  

孔子、ソクラテスよりも古い、エジプト文明の時代だが、心が生まれたか、  

意識されたかの頃で、「天」と太陽の関係はこの頃から結びついていた  

のではないか、という気もする。   

太陽信仰では、ミイラによって、明らかに死後の復活を望んでいるから、  

死への知的な恐怖に満ちている。すでに心は生まれ、知が存在していた。  

しかし、もっと素朴だったならば、死後を望むのはそういう儀式を整え  

られる王などの権力者だけの特権だったのだろうか?  

ピラミッドの建設は奴隷的な使役によるものではなかったらしいとの説が  

有力なので、庶民は死など心配していなかったのだろうか? これだけ  

昔のことになると、どんなに意外な史実であっても驚くには値しない。  

戦いでさえ、神聖なものであったかもしれない。 
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