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誕生から7000年以上経ったもの [精神]

僕にできることは、あと何が残って

いるのだろう、と考える。わざわざ

考えると言うほどにできることをし

たくなくなってゆく自分を感じる。

生産をする、表現をする、という側

から今はもう、それらを社会や人に

限らずに、自然でも楽に楽しみたい

という願望のほうが多い。

文明や現代の文化から遠ざかることを

少しも苦にしない、苦にならない

自分がそこにいる。

ありのままを危険と考えることができる

下地がそこにはある。生きていることが

生きようとしなくても楽しいと感じられ

る心身の環境がそろって備わったような

感覚なのだ。

博物館や美術館というと心躍り、行きたい、

見たい自分がそこにいたのだが、それが

生活の日常の場の楽しみとそれほど格差

がなくなってきたと感じるようになって

からは、たとえどこに行かなくても、

行けなくても、それが大したことでは

なく思える。

目的や追求や挑戦はそれなりに興味を

そそるが、それがなくてはという気持ち

からはかなり遠くへ来てしまったようだ。

それは自分の生活から文明文化の華麗な

芸術や美術、文学・学問知識、その作品

群を除いてしまってもさして問題には

感じない心を表すようだ。

自然が芸術も民芸も差をつけるという

ことがないのはそういうものだとしても、

人がそういう風になってしまうのは困った

ことだ。

いいものに対するかなりの自信というプラ

イドがそこではなくなってしまう。逆に

“何でもいいもの”でも構わなくなって

しまう。区別が付けられなくなって、区別

がつかないという状態になるようだ。

たぶん、ある作品について尋ねられれば、

そこで口を開いて見ているものの印象なり

感想なりが出てくると思うが、それは初め

から意図した言葉ではないのだろう。

そういう世界が、実に、 ここにある と

しか言えないが、それが何かとは言えない。

それに価値があるとか、意味があるとかは

関わりのない事柄だからだ。

僕はこの生活に安住しているのだろう、と

思われるかもしれないが、そうではない。

意識は絶えず、もう一つの視点から眺める

からだ。夕方に自室で夕食の時間まで仮眠

をよくするが、目を覚まさせて、階下に

降りて行きながら、感じるのはどこかの

旅館で夕食の時間になったので、食堂へ

向かう時の軽い緊張だ。これは生活に

あぐらをかいている態度ではないだろう。

これまでも自宅を自分の家として感情的に

旅行から帰る折に郷愁とかのあったかい

家に帰る、とかの感想をしたことがない。

どこかで仮の住まいと思っているからだ。

心はホームレスなのかもしれない。

いつでもしあわせをつくれる生活という

のは、しあわせな生活を土台としては

いないだろう。しあわせなら、新たに

しあわせを作る必要はないからだ。

小さな不幸や遠くの多大な不幸を対比

させて、(それに比べれば、と)自分

のしあわせを感じるきっかけにするの

だろうから。

なので僕には人が幸せにナリタイという

気持ちが心底からはわからないようだ。

どこに居ても、どんな状態でもしあわせ

はありふれて、どうにでもつくれる気が

している。

そこでこうも言える。僕はしあわせになり

たいと思ったことはない、いつでもそれを

チョイスして、なれるからだ。むしろ、

しあわせにはナレない、しあわせである、

という状態がどういう心か知っている、

わかっているから、なりたいとは思わない。

自由でない人間ほど自由にナリタイと

主張するのと同じだろう。



心が紀元前5000年以上前に誕生した頃、

想像してみたまえ、まだ心についてなに

も知らない頃、それは明るくて、くった

くのない爽やかなものだったのでは

ないか。だと、賛同する考えになるなら、

まだそれを取り戻すことができる。

でも、それから現代は7000年以上経っ

てしまっていて、気持ちさえも考え

(という文明文化)の支配の傾向から

逃げられなくなってしまっている。

人間の知性の進化を選び続けるしか

なかったと気持ちでさえ言い訳する

のだろう。

僕らはそういう処にいる。




::


この稿では心と精神を区別していない。

心も精神によって形にされるからだ。

微妙なことを詳しく説明しても、逆に

わかりにくくするし、また実際に両方

のあいまいな部分もあるので、その

ままにした。
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