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街を 建てよう [夢]

この 力強い  振動

重機が 壁を壊して  街を 新しくする

笑って  笑って  どうしたんだ 君たちは

街を 新しくするんだろ? と聞いても

笑って  答えない  嬉しそう

いつの間に  大広場に 仮の家が 立ち並んで

街の半分が  裸になって  人々は  そこに集まる

瓦礫を 片づけるでもなく  雨と 風が 吹き抜ける

そのうちに  瓦礫の 一か所に 人が集まって

話しこんでいる ああだ  こうだと  言っている

道路は 広く 消防ができるだけ 広く、 と

そうすると  道路の走るような 道筋の瓦礫が

運び出され だした 

代わりに 建材が 運ばれて  一軒の奇妙な家が 建ち始めた

二階の壁から  鼻のように 通路が突き出て

それは  閉じられないまま

道路も その周りから 舗装されて  立派になった

そこだけ

不思議な そこだけの きれいな舗装道

やがて 二軒目が 建ち始めると  二階の鼻に

同じような鼻が  つながって  それは回廊に なったよう

つなぎ目が 別の素材 別の大きさ  なんとか 塞いではいたが

その不格好は  気にされていないよう

色も  別々に 好きに塗られて  まるで

君は君  僕は僕だ

広い道路で どこへでも 通じたが  細い路地も

それを つなげ始めた  そうすると

先に建てないと 建てるのが困難になる 家が  次々に

散散と あちこちで  始まった

尖塔の家も あれば  屋上が広い庭の 家もあった

屋根に土を盛って (菜園?) 崩れない屋根裏にしたり

見ていると 面白い  てんで 皆 好き好きに

家を 建てていたが  この街の 雰囲気が  残っていた

皆が  自分たちが 懐かしいとするものを  残して

街は 新しくは ならなかった

街は ただ  古さを 蘇らせた

これだけ  好きな家を めいめいが勝手に  建てて

暗黙の 了解が  あった

街を 壊して  もっと 自分たちの街に する、という

アンバランスなのに  色や 形  色合いで

どこかで  バランスを 取っていた  今も

普請中の 家でも  まだ  人が集まって

ああだ  こうだ と 騒いでいる

皆  それを 楽しんでいる  この先 5年,10年かかるだろう

皆が  残ったペンキなど 持って 駆けつけてくる

時々は  設計士が  代わって  新しい設計になる

そう また  壊しているのだ  この街の人は

手を抜く気は  ないのだろう

彼らは  人の家を 建てているんじゃない

この街を 建てているのだ  彼らの話題は

自分の街の  変りようを  夢見るように

話している

この街は  彼らの 夢なのだ

急ぐことはないのだ

皆で つくっている

一軒一軒 建つたびに  夢が 形になる

その喜びが  笑顔に

僕は  この光景を 見て来て

この街に 住みたいと  思った


ある朝  僕の足は  まっすぐ  彼らの

ああだ こうだの中へ  歩いて

入って行った

そうだ

僕の 家を  街を  建てよう !

想い描いた 家

想い描いた 街

好きにやれと 言いながら  遠慮しないで

ああだ こうだと 言ってくる人たち

僕は

一向に 進まない  ここに

夢を 見はじめている

ここに  建てよう、  街を!

僕の  街を !
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